2013年7月27日土曜日

Kyoto Heart Study


   ・ 2013年7月11日:  京都府立医医科大学の調査委員会は、 「バルサルタンに効果が出るように解析データが操作されていた」とする内部調査結果を公表した。
  ・ EHJ誌論文1報、Circ J誌論文2報、Int J Cardiol誌論文2報の合計5報が撤回済み。
   (残り1報のAm J Cardiol. 2012の撤回告知はされていません(2013年8月1日現在)。



KYOTO HEART Study主論文


Eur Heart J. 2009 Oct;30(20):2461-9. doi: 10.1093/eurheartj/ehp363. Epub 2009 Aug 31.

Effects of valsartan on morbidity and mortality in uncontrolled hypertensive patients with high cardiovascular risks: KYOTO HEART Study.

Sawada T, Yamada H, Dahlöf B, Matsubara H (松原弘明); KYOTO HEART Study Group.

ource

Department of Cardiovascular Medicine, Kyoto Prefectural University School of Medicine, Kyoto 602-8566, Japan. tsawada@koto.kpu-m.ac.jp



Conflict of interest: the sponsor had no role in study design, data
collection, data analysis, data interpretation, or writing of the report.
The executive committee had full access to all the data at the end
of the study, and has final responsibility for the decision to submit
for publication.


Endpoint committee
Jitsuo Higaki, Department of Integrated Medicine and Informatics,
Ehime University Graduate School of Medicine; Shokei Kim-
Mitsuyama (光山勝慶), Department of Pharmacology and Molecular Therapeutics,
Kumamoto University School of Medicine; Toshihiro
Ichiki, Department of Cardiovascular Medicine, Kyushu University
School of Medicine, Japan.




J Hum Hypertens. 2009 Mar;23(3):188-95. doi: 10.1038/jhh.2008.116. Epub 2008 Sep 18.

Rationale and design of the KYOTO HEART studyeffects of valsartan on morbidity and mortality in uncontrolledhypertensive patients with high risk of cardiovascular events.

Sawada T, Takahashi T, Yamada H, Dahlöf B, Matsubara H; KYOTO HEART Study Group.

Collaborators (56)
Matsubara H (松原弘明, Dahlöf B, Sawada T, Shirayama T, Mori Y, Okigaki M, Matsumuro A, Yamada H, Tsutsumi Y, Matoba M, Takahashi T,Shiraishi H, Ikeda K, Nakamura T, Yamada T, Hirano S, Azuma A, Kimura S, Sasaki S, Shiga K, Maki K, Furukawa K, Okuda S, Kajita Y,Nishio M, Kohno Y, Kitamura M, Nishida K, Yamahara Y, Nakamura T, Sawada S, Sakai R, Kuriyama T, Miyanaga H, Kitani T, Haruyama H, Nishio A, Kinoshita N, Inagaki S, Sugihara H, Katamura M, Hachiya T, Kato S, Ohtsuki K, Higaki J, Kim-Mitsuyama S 光山勝慶, Ichiki T, Kitakaze M, Sugiura T, Rakugi H, Yagi K, Kanda K, Sakakura C, Shirahasi N 白橋伸雄, Miki M, Toyoda S.

Source

Department of Cardiovascular Medicine, Kyoto Prefectural University School of Medicine, Kyoto, Japan. tsawada@koto.kpu-m.ac.jp

論文の本文中に、ノバルティスファーマ社員の白橋伸雄氏がStatistics analysis organisationとして統計解析に関与していたことが記載されている。しかし、所属は大阪市立大学となっており、ノバルティスファーマ社員であることが隠蔽されている。

Statistical analysis organization
K Yagi, Louis Pasteur Center for Medical Research,
Kyoto, Japan; Nobuo Shirahashi白橋伸雄, Department of
Preventive Medicine and Environmental Health,
Osaka City University Medical School, Osaka,
Japan.



その他、撤回された4論文(サブ解析論文など)

Circ J 2012 September 12 [Epub ahead of print]
Effects of valsartan on cardiovascular morbidity and mortality in high-risk hypertensive patients with new-onset diabetes mellitus: Sub-analysis of the KYOTO HEART Study. 
Shinzo Kimura, Takahisa Sawada, Jun Shiraishi, Hiroyuki Yamada, Hiroaki Matsubara松原弘明; for the KYOTO HEART Study Group. 
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22987054
https://www.jstage.jst.go.jp/article/circj/advpub/0/advpub_CJ-12-0387/_pdf
Retraction notice

Circ J. 2011;75(4):806-14. Epub 2011 Mar 19.
 Enhanced cardiovascular protective effects of valsartan in high-risk hypertensive patients with left ventricular hypertrophy–sub-analysis of the KYOTO HEART study. 
Jun Shiraishi, Takahisa Sawada, Shinzo Kimura, Hiroyuki Yamada, Hiroaki Matsubara松原弘明
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21436597
https://www.jstage.jst.go.jp/article/circj/75/4/75_CJ-11-0059/_pdf
Retraction notice


Int J Cardiol. 2012 Jul 12. pii: S0167-5273(12)00894-7. doi: 10.1016/j.ijcard.2012.06.103. [Epub ahead of print] WITHDRAWN: Cardio-cerebrovascular protective effects of valsartan in high-risk hypertensive patients with overweight/obesity: A post-hoc analysis of the KYOTO HEART Study. 
Irie H, Shiraishi J, Sawada T, Koide M, Yamada H, Matsubara H 松原弘明; for the KYOTO HEART Study Group. 
Department of Cardiology, Kyoto First Red Cross Hospital, Honmachi, Higashiyama-ku, Kyoto 605-0981, Japan.
Retraction notice

Int J Cardiol. 2012 Feb 13. pii: S0167-5273(12)00090-3. doi: 10.1016/j.ijcard.2012.01.072. [Epub ahead of print] WITHDRAWN: Enhanced cardio-renal protective effects of valsartan in high-risk hypertensive patients with chronic kidney disease: A sub-analysis of KYOTO HEART Study. 
Amano K, Shiraishi J, Sawada T, Koide M, Yamada H, Matsubara H 松原弘明
Department of Cardiovascular Medicine, Kyoto Prefectural University School of Medicine, Kawaramachi-Hirokoji, Kamigyo-ku, Kyoto 602-8566, Japan.
Retraction notice





六号通り診療所所長のブログ)Kyoto Heart Study の謎 [科学検証]





日本の高血圧関連の臨床試験に“統計学上の懸念”
(データ捏造・改ざん疑惑?)
Lancet誌、週刊日本医事新報などで京大・由井芳樹氏が指摘
・ Concerns about the Jikei Heart Study: The Lancet, Volume 379, Issue 9824, Page e48, 14 April 2012
・  週刊日本医事新報 No.4595 2012年 5月 19日発行
・ 月刊循環器(CIRCULATION) 2012年11月号 【特集】 群雄割拠の降圧薬 -beyond blood pressure effectは真か嘘か
日本で行われたバルサルタン臨床試験の統計的異質性 ~試験終了時の収縮期血圧,拡張期血圧の群間での一致問題~/由井芳樹


↑ ディオバン(バルサルタン)の臨床研究の統計学的懸念の解説図1


 
↑ 引用元:週刊日本医事新報 No.4595 







 「Kyoto Heart Study」臨床研究の調査報告について

本学循環器内科で実施されていた「Kyoto Heart Study」臨床研究に関しましては、
調査委員会を設置して鋭意調査いたしました。
今回、外部機関に委託したデータの検証結果と関係者への内部調査の結果を公表させて頂きます。
問題点について真摯に反省し、大学として再発防止に向け努力してまいります。
このたびのことにつきまして、皆様に大変なご迷惑、ご心配をおかけしたことを深くお詫びいたしますとともに、
明らかになった問題点について真摯に反省し、大学として再発防止に向け努力してまいります。

 

公表資料(7月11日記者発表)

「Kyoto Heart Study」臨床研究に係る調査報告書(PDFファイル)魚拓 コピー



Kyoto Heart Study 調査結果まとめ
2013/7/8
1. 調査目的
 Kyoto Heart Study(以下KHS と略す)におけるデータ管理プロセスとデータの精度についての調査を行って、KHS の品質ならびに信頼性全般について検証し、論文で主張している結果の妥当性について評価することを目的とした。

2. 調査対象
 1) 京都府立医科大学KHS精度検証チームから提出された資料
KHS 事務局(京都府立医科大学大学院医学研究科循環器病態制御学/腎臓・高血圧病態制御学)が保有していたWeb 収集データ(Web を介して医師が入力したデータ)、各組織の会議等に関する資料、解析用データ(3,031 症例)。
 2) 京都府立医科大学附属病院から閲覧に供された診療録(カルテ)
京都府立医科大学附属病院からKHS に登録された310 症例(うち、カルテ調査が可能であったのは223
例)

3. 調査結果の要点
 ① カルテ閲覧が可能であった223 症例のうち、KHS の主要エンドポイントである複合イベント*の発生数は解析用データ上48 件(21.5%)であったが、カルテ上確認できたのは34 件(15.2%)であった。
*論文に記載された複合イベントの定義と試験実施計画書に記載されたそれが異なっており、本調査では論文の定義に従って各イベントの発生を判定した。
 ② 複合イベント発生の有無が解析用データとカルテ調査結果で一致しなかった症例は、223 症例中34 症例(15.2%)であった。そのうち、解析用データで「有」だったがカルテ調査で「無」だったのが24例(試験薬(バルサルタン)群4 例、対照(非バルサルタン)群20 例)あった。逆に、解析用データで「無」だったがカルテ調査で「有」だったのが10 例(試験薬群9 例、対照群1 例)あった。
複合イベント 合計 試験薬群 対照群
解析用データ「有」→カルテ調査「無」 24 例 4 例 20 例
解析用データ「無」→カルテ調査「有」 10 例 9 例 1 例
 ③ 同223 症例について、複合イベント発生率に関する解析を行ったところ、解析用データでは、試験薬群で対照群に比して有意にイベント発生が抑制されていたが(左図)、カルテ調査結果では、イベント発生に有意な差は認められなかった(右図)。
解析用データ 

カルテ調査結果



 なお、KHS 全体での複合イベント発生について、解析用データでは試験薬群で対照群に比して有意にイベント発生が抑制されていたが(左図)、Web 収集データではイベント発生率に有意な差は認められなかった(右図)。
解析用データ

Web 収集データ


 ④ 解析用データとカルテ調査の血圧値の推移は概ね一致していた(下図)。参考として、KHS 全登録症例での解析用データと医師入力データとの間でも血圧値の推移は概ね一致していた。

<カルテ調査結果と解析データの血圧値の推移>
解析用データ 

カルテ調査結果




<参考:研究全体での血圧値の推移>
解析用データ 

Web 収集データ**
**異常値を削除後の推移図


 ⑤ 同223 症例について、Web 収集データに比べ、解析用データでは31 症例212 件で血圧値が追加され(欠測値の補完)、11 症例11 件で血圧値が修正されていた(5 件において-10 mmHg、5 件において+10mmHg、1 件において+20 mmHg)。なお、それらの修正は全てが試験薬群の症例における症例登録時の収縮期血圧の修正であった。


4. 結論
京都府立医科大学附属病院からKHSに登録された310症例のうち、カルテを調査し得た223症例について、イベント判定と血圧値の正確性を評価した。その結果、解析用データとカルテ調査結果とでは心血管系疾患のイベントの発生数に大きな相違があった。また、同223 症例について、解析用データでは試験薬群のイベント発生率が低かったが、カルテ調査結果を用いた解析では2 群間に有意な差がなかった。なお、血圧値の推移は解析用データとカルテ調査結果とで概ね一致していたものの、解析用データとWeb 収集データとで一部の血圧値に相違があった。



Kyoto Heart Studyのデータ改ざんについては、京都府立医科大学の調査報告書によると、 白橋伸雄氏だけでなく、医師がデータ改ざんに関与している可能性も否定されていません。
京都府立医科大学の調査報告書→
京都府立医大の報告書3ページ目の「④データの操作について」には、 「・・・上記データ操作には解析担当者及び事務局責任者も関わることができたと推測された。」 とあります。  
解析担当者はノバルティスの白橋伸雄氏、事務局責任者には京都府立医科大学の松原弘明(元)教授らが含まれます。

現在も、結局誰がデータ操作をしたのか明らかになっていません。白橋氏はJikei Heart Study等、データ改ざんが疑われる別の臨床研究にも関与していたことから、Kyoto Heartのデータ改ざんに関与していた可能性が高いと推測されていますが、その証拠も証言もありません。

また、松原弘明(元)教授は、始めは、臨床研究(Kyoto Heart Study)での疑惑で騒がれていたわけではなく、基礎研究論文での不正疑惑が2011年末に騒がれ、調査の結果、2013年4月に基礎研究14論文の計54件で画像の改ざん等の不正行為があったとする報告が出されました。

まとめブログ→  (京都府立医科大学 松原弘明の不正)   当時のニュース→   (読売新聞: 元教授の14論文に捏造・改ざん…京都府医大)

まとめブログの論文画像改ざん行為の説明図一覧を見てもらえれば、細胞等の画像の一部を切り取って別の画像としたり、グラフの折れ線を上下反転させて別の論文で使い回されているのがおわかり頂けると思います。 極めて悪質な捏造の態様が伺えます。

実際に、京都府立医大の調査委員会は、松原元教授がデータの基になる実験ノートなどを調査委に提出せず、明確に反証しなかったことから、「捏造や改ざんが行われた」と結論付けました。このように、松原教授は、捏造・改ざんといった意図的で悪質な研究不正を長期に渡って広範囲に行ってきたのです。

このような松原教授の研究倫理観の無さから判断すると、臨床研究(Kyoto Heart Study)においても、データ操作に関与していた可能性があると推測されても無理はないでしょう。 もちろん、ノバルティス社の白橋氏と松原教授が、結託してデータ操作を行った可能性も推測されます。




Kyoto Heart Study のデータ操作問題に関する報道、報告一覧
2013年7月11日 京都府立医科大学:「Kyoto Heart Study」臨床研究の調査報告について
2013年7月12日  毎日新聞: 降圧剤不正:厚労省、調査状況把握へ…検討委員会を設置
2013年7月12日  日刊薬業: ディオバン試験調査 疑われる真相解明への「本気度」
2013年7月12日  日刊薬業: 京都府立医大 元社員への聴取できず「調査に限界」
2013年7月12日  日刊薬業: 京都府立医大・調査結果 KYOTO試験「データ操作あり」
2013年7月12日 一般社団法人日本循環器学会(代表理事 永井良三):Kyoto Heart Study のデータ操作について(pdf)
2013年7月13日  日テレNEWS24:医学研究における利益相反
2013年7月16日  医療介護CBニュース:厚労相、国の創薬推進に「水差す」と懸念
2013年7月16日  産経新聞:効果捏造の論文で降圧薬宣伝
2013年7月18日  毎日新聞:降圧剤問題:製薬医学会が緊急提言
2013年7月18日  一般財団法人日本製薬医学会(理事長 今村恭子):臨床研究の信頼性に関する緊急提言
2013年7月19日  フライデー:【クスリの闇】独走スクープ第7弾! 「日本一売れた薬《ノバルティスファーマ社バルサルタン》」の効能はこうしてでっち上げられた
2013年7月22日  東京都済生会中央病院: バルサルタン(ディオバン錠)採用中止のお知らせ
2013年7月23日  CBニュース: バルサルタン使用中止へ、済生会中央病院
2013年7月28日  毎日新聞: 降圧剤データ操作疑惑 (社説)







個々の条件に差のない二つのグループの一方には、従来の複数の降圧剤を投与し、もう一方のグループにはそれらの降圧剤のほかに新薬を加えたら。。。まったく同じ降圧効果だったという。どのくらい同じだったか。。。

 

実験開始時の収縮期血圧と拡張期血圧と、終了時のそれらが「神もノケゾルほど」同じだった。










ランダムに選んだはずの二つの群のデータがそろい過ぎは目の錯覚?

こうした「うまい話(できすぎたデータ)」には、やっぱり。。。案の定、「うまい話(できすぎた結果)」が待っているのでした。

  

 

 

  どんな結果?

  

 

。。。つづく

  







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  1. 毎日新聞により、Kyoto Heart Studyの6報の論文は全て撤回されたと報道があったが、5報の撤回しか確認できない。 残り1報のAm J Cardiol. 2012は撤回されてない?


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