2013年7月1日月曜日

毎日新聞: 臨床研究:データ長期保存、倫理指針で盛る方針 厚労省

社会

臨床研究:データ長期保存、倫理指針で盛る方針 厚労省


2013年07月25日 18時51分

 厚生労働省は25日、臨床研究を実施する研究機関向けの倫理指針で、研究データの長期保存を求める規定を新たに盛り込む方針を決めた。研究成果に対して外部から疑念が出た場合に備え、検証を可能にするための措置。指針は従来、患者の権利保護が主な目的だったが、降圧剤バルサルタン(商品名ディオバン)の疑惑などを受け、研究不正を念頭に置いた新たな規定も必要と判断した。
 臨床研究と疫学研究の倫理指針の統合作業を進める厚労省の有識者会議で、大筋で了承された。来月下旬に中間報告をまとめる。
 この日の会議では、出席者から「資料は研究が批判にさらされた時、科学的に検討するための唯一の材料。保存は研究者の責務だ」などとする意見が相次いだ。厚労省によると、統一した保存期間は定めないが、個別の研究計画を立てる際に期間の設定を求める方針。また、研究の進捗(しんちょく)状況の公開や監査の導入も可能か検討するが、これらについては慎重意見もあり、実現性は不透明だ。
 臨床研究の中でも新薬の製造・販売承認のための「治験」では、研究成果の信頼性を確保するために監査やデータの保存義務などの厳格な規制があるが、治験以外の臨床研究では研究者の判断に任されていた。
 バルサルタンに血圧を下げる以外の効果もあると結論付けながら、データ操作されていた京都府立医大の論文不正は、臨床研究を巡る制度に不正を許す土壌があることを浮き彫りにし、田村憲久厚労相も指針の早期見直しの必要性に言及していた。府立医大の調査では、研究チームの事務局が保存していた患者データとカルテなどを照合した結果、データ操作が明らかになった。【八田浩輔】
2013年07月25日 18時51分






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