2013年7月8日月曜日

産経新聞: 疑惑指摘の京大病院医師、揃いすぎたデータに疑問

【降圧剤データ操作】
「ひと目見ておかしい」疑惑指摘の京大病院医師…揃いすぎたデータに疑問

2013.9.30 14:08 (1/2ページ)
ディオバンを使った臨床研究について最初に疑惑を指摘した京都大付属病院の由井芳樹医師(前田武撮影)
ディオバンを使った臨床研究について最初に疑惑を指摘した京都大付属病院の由井芳樹医師(前田武撮影)
 製薬会社ノバルティスファーマの降圧剤ディオバン(一般名・バルサルタン)を使った臨床研究で論文のデータが不正に操作されていた問題で、厚生労働省の有識者委員会が中間報告をまとめるのを前に、最初に疑惑を指摘した京都大付属病院の由井芳樹医師(循環器内科)が産経新聞の取材に応じ、「ひと目見ておかしいと思った。これでは日本の臨床研究は国際的な信頼を失う」と述べた。
 この問題を調査している厚労省の有識者委員会は30日午後の会合で、中間報告をとりまとめる予定。
 「データがあまりにもそろいすぎている」。由井医師は平成19年に英医学誌ランセットで発表された東京慈恵医大の論文を一読すると、すぐに疑問を抱いたという。
 論文は、ディオバンを投与した患者のグループと、別の降圧剤を使った患者のグループを比較した臨床研究の結果をまとめたもの。血圧についてはそれぞれ同程度下げる効果があったとしたうえで、ディオバンにだけ、脳卒中や狭心症などの発生を大幅に減らす効果が出ていたという内容だった。
 21年に別の学術誌に掲載された京都府立医大の臨床研究の論文でも同様の結果になっていることを知った由井医師は24年4月、ランセットで疑問点を指摘する意見を発表。「これらの論文では、ディオバンを投与したグループと別の降圧剤を使ったグループで、臨床研究後の血圧データがぴったり一致するなど、統計的に見ておかしい」と指摘した。
 由井医師は「降圧剤を使った臨床研究は世界中で行われているが、こういうデータを示した論文はなく、統計的にもありえない」と改めて主張。「血圧の下がり方に差はないにもかかわらず、ディオバンのグループだけ、脳卒中や狭心症などの発生が減るという結果も不可解だった」と話す。
http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/130930/wlf13093014110012-n1.htm
http://megalodon.jp/2014-0124-0900-47/sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/130930/wlf13093014110012-n1.htm
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 その後、府立医大の論文を掲載した学術誌は、「データに問題がある」などとして撤回。ランセットも今月になって慈恵医大の論文を取り下げた。大学側の調査では、これらの論文に使用されたデータは、不正に操作されていたことが明らかになっている。
 慈恵医大や府立医大の臨床研究にはノバルティスの元社員(当時は現役社員)が深く関与していた。この点について由井医師は「論文の主任研究者の責任が最も重い」との日本医学会の見解に賛同。「研究者は、もっと統計学を勉強すべきだ。統計学の知識があれば元社員を関与させることもなかったし、周囲の研究者も早い段階で不正に気づいただろう」と述べた。
 そのうえで「日本の臨床研究が信頼を取り戻すには、また一から確実な実績を積み上げるしかない」と強調した。
降圧剤ディオバンをめぐる論文データ操作問題
 製薬会社ノバルティスファーマが販売している降圧剤ディオバン(一般名・バルサルタン)が、本来の薬効のほかに脳卒中や狭心症を抑える効果があるかなどを調べた5大学の臨床研究で、同社の元社員(当時は現役社員)が肩書を伏せたまま関与していたことが発覚。このうち京都府立医大と東京慈恵医大の研究では論文に使用されたデータが不正に操作されていたことが判明した。残る3大学も調査を進めている。
http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/130930/wlf13093014110012-n2.htm
http://megalodon.jp/2014-0124-0901-39/sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/130930/wlf13093014110012-n2.htm

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