2013年7月8日月曜日

ミクスOnline: 厚労省・ディオバン問題検討委が中間報告案了承 広告・保険財政上の課題など「必要に応じ厳しい対応を」

ミクスOnline: 厚労省・ディオバン問題検討委が中間報告案了承 広告・保険財政上の課題など「必要に応じ厳しい対応を」

公開日時 2013/10/01 03:54

降圧薬ディオバン(一般名:バルサルタン)の臨床研究におけるデータ改ざん問題を議論する厚労省の「高血圧症治療薬の臨床研究事案に関する検討委員会」(委員長:森嶌昭夫名古屋大学名誉教授)は9月30日、3回目の会合を開き、中間報告案を大筋了承した。中間報告案では、これまで公開・非公開で行った関係者へのヒアリングなど参考に、問題の背景と再発防止策を示した。このうち厚労省に対応を求める重要課題として、問題の論文を取り上げたノバルティス社の広告が誇大広告に該当する恐れがあるとし、薬事法上の違法性について検証を求めた。また、誤った広告が医師の処方行動に影響した可能性が高いなど、医療保険財政への影響について中央社会保険医療協議会において検討すべきとした。

◎信頼性低下の責任は「ノバルティス社、関係大学の双方で負うべき」

中間報告案では、非公開で行った関係者5人へのヒアリング(東京慈恵会医科大学の研究責任者、京都府立医科大学の研究責任者、外部データセンター責任者、統計解析に関与したとされるノバルティス元社員、当時マーケティング部門を統括していたノバルティス元社員)の結果を報告した。その上で、今回焦点となった臨床研究のデータ操作については、「現時点でデータの操作を誰が何の目的で行ったについて明らかにすることはできなかった」としながらも、「我が国の医学界に対する信頼性が低下したことに対する責任は、ノバルティス社および関係大学の双方で負うべきと考える」と強調した。

厚労省など担当部局に対応が求められる重要課題では、ディオバンの広告、医療保険財政上の課題などをあげた。まず、ディオバンの広告については、「(ノバルティスが)データ操作そのものに関与したかどうかは現時点で不明であるものの、善意の第三者的立場で当該論文を用いたとはいえないことに留意する必要がある」とし、国は立ち入り検査等の権限を有する者による詳細な実態解明を進め、関係者の薬事法上の違法性を十分検証し、厳しい対応を図るべきとした。なお、根拠法として医薬品の誇大広告等を規定する薬事法66条をあげている。

◎医療メディアの広告にもメス

また、これに関連し、専門誌等のマスメディアにおいても、「結果的に今回の事案に関連する企画広告が医療現場等に与えた影響は少なからずある」と指摘し、今後の広告のあり方等について十分に検討すべきとした。この問題については、この日の検討会でも議論となり、「医療関連メディアと製薬企業間の資金の流れも透明化すべき」などの意見があがった。これに対し委員からは、「製薬企業による労務提供の明確化」に関する必要性が指摘された。

一方、医療保険財政への影響についても指摘した。今回の臨床研究の結果を用いた広告などが、高血圧治療にあたる医師の処方行動に影響したというのがその背景だ。中間報告案では、「今回の事案にかかる臨床研究による医療保険財政への影響の評価などについて、中医協で検討すべきと考える」と強調した。

◎高血圧治療GL 学会は引用の経緯など検証を

そのほか、今回の臨床研究の結果が日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン」に引用されていることにも触れ、「当該学会はガイドラインに関連論文を引用した経緯や利益相反管理について検証すべき」と指摘。各学会においても、ガイドライン作成時の利益相反の管理を適切に実施すべきであるとした。

ノバルティス元社員が大阪市立大非常勤講師の肩書を有していたことにも触れ、「大学においては、非常勤講師の勤務実態等を確認の上、漫然と委嘱を継続することのないようにすべき」とし、また、非常勤講師委嘱にあたっては、その職務内容等を記録し、保管すべきであるとした。

◎中間報告案を受けノバルティス・二之宮社長 「当局の調査に全面協力」

ノバルティス ファーマの二之宮義泰代表取締役社長は同日、検討委員会の中間報告を受けて記者会見に臨み、「中間とりまとめにおいて、今回の一連の問題の結果責任は大学とノバルティスの双方で負うべきと判断されたことを、非常に重く受け止める」と述べた。特に、「今回の一連の臨床研究において利益相反を疑われる状態を容認し、結果として、データ操作が生じうる状況を作ってしまったことについて、深く責任を感じている」とコメントした。

その上で、二之宮社長は、同社の社内調査と第三者委員会の調査を通じ、解明に至らなかったことから、「当局の調査への全面的な協力を通じて、真相解明に協力したいと考えている」とした。

https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/44990/Default.aspx
http://megalodon.jp/2014-0124-0903-17/https://www.mixonline.jp:443/Article/tabid/55/artid/44990/Default.aspx

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