2013年7月31日水曜日

「Kyoto Heart Study」臨床研究の調査報告について

http://www.f.kpu-m.ac.jp/doc/news/2013/91.html (魚拓 コピー


「Kyoto Heart Study」臨床研究の調査報告について

本学循環器内科で実施されていた「Kyoto Heart Study」臨床研究に関しましては、
調査委員会を設置して鋭意調査いたしました。
今回、外部機関に委託したデータの検証結果と関係者への内部調査の結果を公表させて頂きます。
問題点について真摯に反省し、大学として再発防止に向け努力してまいります。
このたびのことにつきまして、皆様に大変なご迷惑、ご心配をおかけしたことを深くお詫びいたしますとともに、
明らかになった問題点について真摯に反省し、大学として再発防止に向け努力してまいります。

 

公表資料(7月11日記者発表)

「Kyoto Heart Study」臨床研究に係る調査報告書(PDFファイル)魚拓 コピー



Kyoto Heart Study 調査結果まとめ
2013/7/8
1. 調査目的
 Kyoto Heart Study(以下KHS と略す)におけるデータ管理プロセスとデータの精度についての調査を行って、KHS の品質ならびに信頼性全般について検証し、論文で主張している結果の妥当性について評価することを目的とした。

2. 調査対象
 1) 京都府立医科大学KHS精度検証チームから提出された資料
KHS 事務局(京都府立医科大学大学院医学研究科循環器病態制御学/腎臓・高血圧病態制御学)が保有していたWeb 収集データ(Web を介して医師が入力したデータ)、各組織の会議等に関する資料、解析用データ(3,031 症例)。
 2) 京都府立医科大学附属病院から閲覧に供された診療録(カルテ)
京都府立医科大学附属病院からKHS に登録された310 症例(うち、カルテ調査が可能であったのは223
例)

3. 調査結果の要点
 ① カルテ閲覧が可能であった223 症例のうち、KHS の主要エンドポイントである複合イベント*の発生数は解析用データ上48 件(21.5%)であったが、カルテ上確認できたのは34 件(15.2%)であった。
*論文に記載された複合イベントの定義と試験実施計画書に記載されたそれが異なっており、本調査では論文の定義に従って各イベントの発生を判定した。
 ② 複合イベント発生の有無が解析用データとカルテ調査結果で一致しなかった症例は、223 症例中34 症例(15.2%)であった。そのうち、解析用データで「有」だったがカルテ調査で「無」だったのが24例(試験薬(バルサルタン)群4 例、対照(非バルサルタン)群20 例)あった。逆に、解析用データで「無」だったがカルテ調査で「有」だったのが10 例(試験薬群9 例、対照群1 例)あった。
複合イベント 合計 試験薬群 対照群
解析用データ「有」→カルテ調査「無」 24 例 4 例 20 例
解析用データ「無」→カルテ調査「有」 10 例 9 例 1 例
 ③ 同223 症例について、複合イベント発生率に関する解析を行ったところ、解析用データでは、試験薬群で対照群に比して有意にイベント発生が抑制されていたが(左図)、カルテ調査結果では、イベント発生に有意な差は認められなかった(右図)。
解析用データ 

カルテ調査結果



 なお、KHS 全体での複合イベント発生について、解析用データでは試験薬群で対照群に比して有意にイベント発生が抑制されていたが(左図)、Web 収集データではイベント発生率に有意な差は認められなかった(右図)。
解析用データ

Web 収集データ


 ④ 解析用データとカルテ調査の血圧値の推移は概ね一致していた(下図)。参考として、KHS 全登録症例での解析用データと医師入力データとの間でも血圧値の推移は概ね一致していた。

<カルテ調査結果と解析データの血圧値の推移>
解析用データ 

カルテ調査結果




<参考:研究全体での血圧値の推移>
解析用データ 

Web 収集データ**
**異常値を削除後の推移図


 ⑤ 同223 症例について、Web 収集データに比べ、解析用データでは31 症例212 件で血圧値が追加され(欠測値の補完)、11 症例11 件で血圧値が修正されていた(5 件において-10 mmHg、5 件において+10mmHg、1 件において+20 mmHg)。なお、それらの修正は全てが試験薬群の症例における症例登録時の収縮期血圧の修正であった。


4. 結論
京都府立医科大学附属病院からKHSに登録された310症例のうち、カルテを調査し得た223症例について、イベント判定と血圧値の正確性を評価した。その結果、解析用データとカルテ調査結果とでは心血管系疾患のイベントの発生数に大きな相違があった。また、同223 症例について、解析用データでは試験薬群のイベント発生率が低かったが、カルテ調査結果を用いた解析では2 群間に有意な差がなかった。なお、血圧値の推移は解析用データとカルテ調査結果とで概ね一致していたものの、解析用データとWeb 収集データとで一部の血圧値に相違があった。


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