2013年7月3日水曜日

NHK:製薬会社社員がデータを操作か

製薬会社社員がデータを操作か
7月31日 0時29分

製薬会社社員がデータを操作か
国内で推計400万人の患者が使っている大手製薬会社「ノバルティスファーマ」の高血圧の治療薬について、東京慈恵会医科大学の調査委員会は、脳卒中や狭心症を予防する効果があるとした大学の臨床研究の論文に人為的なデータの操作が加えられていたとする中間報告を発表しました。
調査委員会はデータの操作はノバルティスファーマの当時の社員が行ったと考えられるとしています。
この問題は、ノバルティスファーマが販売する高血圧の治療薬「ディオバン」の効果を調べた複数の大学の臨床研究に、この会社の当時の社員が関与していたもので、このうち京都府立医科大学はほかの薬より脳卒中や狭心症を減らせるとした臨床研究の結果には誤りがあった可能性が高いとする調査結果を発表しています。
東京慈恵会医科大学の調査委員会が発表した中間報告によりますと、大学の研究グループが行った臨床研究の論文には、患者の血圧のデータにカルテの記載と異なるものが相当数あり、人為的なデータの操作があったことが分かりました。
これについて、調査委員会は、データの操作は大学の研究者が行ったものではなく、データの解析の段階で行われたとみられるとして、解析を担当していたノバルティスファーマの当時の社員が行ったと考えられると指摘しました。
さらに、発表された論文にはノバルティスファーマは関与していないと事実に反する記載があり、研究チームの責任者だった望月正武客員教授の責任は重いとしています。
高血圧の治療薬「ディオバン」は国内で推計400万人が使っていて、臨床研究の結果を利用した薬の販売促進などによって、これまで1兆2000億円を売り上げていました。

元社員は関与を否定

東京慈恵会医科大学の調査委員会は、今月27日、ノバルティスファーマの当時の社員を呼び、直接聞き取りを行いました。
ことし5月に会社を辞めたという元社員は「血圧のデータの操作に思い当たることはなく、自分は関係していない」とデータ操作への関与を否定したということです。
また、調査委員会は、元社員がデータの解析の責任者を務め、論文に使われた図や表は元社員が研究者に提供したとしていますが、元社員は「責任のある立場で解析を行ったことはなく、医師が行うのに部分的に協力しただけだ。論文の図や表を作ったこともない」などと反論したということです。
これに対し、調査委員会は、研究に関わった医師らはいずれも元社員がデータの解析を行ったと証言していることなどからデータの解析に関わっていないという元社員の話は虚偽で、証言は全体として信用できないなどとしています。

「おわびを申し上げる」

臨床研究の責任者だった東京慈恵会医科大学の望月正武客員教授は「調査委員会による数か月に及ぶ入念な調査の結果を真摯(しんし)に受け止めます。本研究については、研究統括責任者として、私がすべて責任を負うものであります。皆様の期待と信頼に応えられなかった責任を深く反省し、おわびを申し上げます」というコメントを出しました。

「大学の発表を重く受け止める」

ノバルティスファーマは、当時の社員がデータの操作を行ったと考えられるとした東京慈恵会医科大学の中間報告について「大学の発表を重く受け止めています。発表内容の詳細を把握していないので現段階ではこれ以上のコメントは控えたいと思います」と話しています。

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