2013年4月30日火曜日

毎日新聞: 降圧剤:臨床試験にノ社社員が同僚紹介


http://mainichi.jp/select/news/20130611k0000m040123000c.html
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降圧剤:臨床試験にノ社社員が同僚紹介

毎日新聞 2013年06月11日 07時30分

 ◇販売促進に期待

 降圧剤「バルサルタン」の臨床試験問題で、販売元の製薬会社「ノバルティスファーマ」(東京)の社員(既に退職)が大学の研究チームに加わることができたのは、ノ社で医師向けの宣伝などを企画するマーケティング担当者による紹介が端緒だったことが分かった。当時、ノ社は販売競争に有利となる臨床試験の結果が出ることを期待しつつ、大学側と試験実施に向け計画を進めていた。ノ社は、この経緯を厚生労働省と関係学会に社内調査結果として報告したが、これ以外には公表していない。【河内敏康、八田浩輔】
 バルサルタンの2000年の発売以来の売り上げ(12年まで)は計約1兆2000億円に上る。医師の処方薬であり、保険料の形で国民が負担している。
 取材で判明した社内調査結果などによると、海外で「バルサルタンには、血圧を下げるだけにとどまらない種々の効果がある」と報告されていたため、ノ社は、日本人対象の臨床試験が行われて同様の効果が確認されることを望んでいた。
 一方、大学側には、実績づくりのために大規模な臨床試験に取り組みたいとの希望があり、思惑が合致した形で試験が計画されていった。
 その過程で、ノ社のマーケティング担当者が、「統計の専門家」として、循環器マーケティング部門に所属していた社員を教授らに紹介していた。社内の上司は、臨床試験が計画通りに行われるよう、社員に対し、研究チームへの支援を指示していた。
 結局、臨床試験は京都府立医大など計5大学で実現。統計解析などにノ社の社員が関わったことは、いずれの論文からも伏せられ、所属は「大阪市立大」などとなっていた。このうち東京慈恵会医大と府立医大を含む4大学の結果には、専門家から統計学的な疑問が投げ掛けられており、府立医大の論文は掲載誌から撤回(取り消し)されている。
 ノ社は3月、取材に「臨床試験は医師主導で、企業は関与できない」「社員は有名な統計解析の専門家だったために加わった」と説明していた。問題が拡大した後の5月22日にホームページで社内調査の結果を公表したが、社員が研究チームに加わった経緯は明らかにしなかった。

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