2013年4月30日火曜日

フライデー: 追及第4弾クスリの闇 ついに製薬会社に行政指導!「疑惑の降圧剤(バルサルタン)」&「保険診療費」に群がった学者を直撃

2013年6月9日 フライデー: 追及第4弾クスリの闇 ついに製薬会社に行政指導!「疑惑の降圧剤(バルサルタン)」&「保険診療費」に群がった学者を直撃


http://gendai.ismedia.jp/articles/-/36074
http://megalodon.jp/2013-0611-0850-32/gendai.ismedia.jp/articles/-/36074


本誌記者の直撃に答える小室氏。心臓の再生医療のエキスパートであり、「人望もある」とは関係者の弁〔PHOTO〕香川貴宏
「私はノバルティスのMRから、こう説明を受けたことがあります。『先生、ディオバンには血管の傷を治す効果があるんですよ』と。動脈硬化とか心筋梗塞は血管の傷が元で起こる病気ですから、そう言われて心を惹かれない医者はいませんよ。でも今は、それが〝インチキ〟だったかも知れないと思っています。私個人の意見としては、降圧剤は似たり寄ったりの薬が多い。ディオバンは市場から撤退すべきだと思います」
(上)厚労省から行政指導を受けたノバルティスファーマ本社。第三者による調査委員会を設けているという〔PHOTO〕村上庄吾
(下)バルサルタン(商品名ディオバン)の錠剤。世界中で売られているが、総売り上げの約3割が日本だった〔PHOTO〕神取亜理沙
 こう語るのは、東京ハートセンターの南淵明宏センター長である。ディオバンとは医薬業界に大スキャンダルを巻き起こしている、製薬会社『ノバルティスファーマ』(東京・港区)の降圧剤『バルサルタン』の商品名だ。
  '00年に発売されたバルサルタンが年間1000億円を売り上げるドル箱商品になったのは、学者とノバ社、医療専門誌が三位一体となってその薬効を宣伝したことが大きい。しかし、薬効を謳う根拠となった「バルサルタン論文」のデータに相次いで不正が指摘され、医学界はショック状態に陥っている。
 5月28日までに厚生労働省はノバ社に対し、問題の全体像の検証と、再発防止を求める行政指導を行った。バルサルタン論文では、京都府立医大の松原弘明氏が発表した論文が相次いで「撤回」されており、同大ほか、滋賀医大、慈恵医大、千葉大、名古屋大で行われた治験でも不正がなかったか調査が行われている。


http://gendai.ismedia.jp/articles/-/36074?page=2
http://megalodon.jp/2013-0611-0853-10/gendai.ismedia.jp/articles/-/36074?page=2
「問題点は二つある。一つは、どの試験でもノバ社の社員『S』氏(5月退職)が肩書を隠し、非常勤講師を務める『大阪市立大学』の所属として統計解析をしていたこと。もう一つは、データが作られた可能性があることです。『脳卒中のリスクを下げる』など、どの論文でも降圧以外の効果が謳われていますが、それを示すデータが、『科学的にあり得ない』。ノバか学者、もしくは双方が故意にデータを作った可能性があります」(都内大学病院・循環器内科勤務医)
5月24日、日本医師会館で行われた日本医学会の「利益相反」に関する記者会見。中央は髙久史麿会長〔PHOTO〕結束武郎
 慈恵医大を皮切りに各大学が論文を発表したのが '07 年以降。松原氏や千葉大での治験を行った現・東大医学部循環器内科教授の小室一成氏などが医療専門誌に登場し、薬効をPRした。
「もしノバが故意にデータを作っていたとしたら、紛れもない犯罪です」
 東京大学医科学研究所・上昌広特任教授の語気が荒いのは、年間1000億円を売り上げた「疑惑の降圧剤」によって、私たち国民の財産が不正に奪われた可能性があるからだ。
「薬の代金は、一般的に大部分が国民が納めている保険診療費で賄われています。例えば、ある高血圧患者が『バルサルタン』を処方されておカネを払う場合、3割が窓口での自己負担で、それ以外の7割は国民の保険料から支払われます。税金や自己負担金も含まれますが、大部分は私たちの保険料です。仮に、ノバが捏造したデータを使って学者に論文を書かせ、それを学者たちが喧伝して医師がより多くバルサルタンを処方したとすれば、不正に請求された診療報酬は、ノバから国民に返されるべきです」
 膨らみ続ける日本の医療費は年間総額37兆円に上る。その負担が現役世代に容赦なく襲いかかり、体力を削いでいることは、ここで書かなくても誰にも痛感されていることだ。繰り返すが、バルサルタンは年間1000億円以上を売りあげる『ブロックバスター(爆発的なヒット薬)』だった。その薬の売り上げの大部分は、私たちの保険診療費から賄われているのである。仮に「全部ウソでした」となった時、誰が責任を取れるのか。
 本誌は5月25日、東京のJPタワーで開かれた『臨床高血圧フォーラム』で、二人の人物に直撃取材を行った。
 一人は千葉大学在籍当時、バルサルタン治験の責任者を務め、『日経メディカル』誌上で複数回にわたり、バルサルタンの薬効について語った東大の小室氏だ。ネット上では、小室氏の論文に登場する画像の捏造が数々指摘されている。
 千葉大での論文捏造疑惑について尋ねると、「それは、そのうち答えます」とだけ答え、控え室に消えていった。


http://gendai.ismedia.jp/articles/-/36074?page=3
http://megalodon.jp/2013-0611-0853-32/gendai.ismedia.jp/articles/-/36074?page=3

小室氏は千葉大学時代の平成20年度~22年度にわたり、厚生労働省の「科学研究費補助金」を受けていた。平成20年に小室氏が世界的な科学誌『ネイチャー』に発表した論文についても、ネット上では不正が指摘されており、同論文には、厚労省から科学研究費を受けていた旨の記載がある。厚労省・研究開発振興課の担当者は次のように言う。
「小室氏には、平成20年度は、6500万円、21年度は5561万6000円、22年度は5454万5000円の補助金が支払われています。これは国税です。万が一、不正な論文に使われていたとしたら返してもらわなければならない。千葉大学には調査をするように伝えます」
 一方、日本高血圧学会の理事長、堀内正嗣>氏も、臨床高血圧フォーラムで数多く発言し、存在感を示していた。本誌の前号の報道を受け、自身の名前と理事長職で抗議書を送ってきた人物だ。高血圧学会のトップでありながら、バルサルタンの広告記事で薬効を喧伝した張本人である。日本医学界の会長、髙久史麿氏は前日に行われた会見で本誌の取材に、「(堀内理事長が)宣伝活動をしているのは事実。大いにしていた。(宣伝は)もう止めてもらいたい」とし、「道義的な責任は免れない」と指摘した。
 本誌記者は堀内氏に「反論も含めて取材を受けて下さい」と取材を申し込んだが、「文書で送って下さい。それからです」と繰り返すのみだった。
南淵氏もディオバンを処方したことがあるという。論文不正問題はアカデミズムの構造に原因があると指摘〔PHOTO〕吉田暁史
 医療ジャーナリストが言う。
「ノバは高血圧学会の幹部4~5名を広告塔にして、ボロ儲けしたんです。医療専門誌でお偉方がバルサルタンの薬効を宣伝する度、医療誌は彼らに『原稿料』の名目で謝礼を払っていた。一本10万円ほどでしょうか。それも元を辿れば、大部分が国民が払った保険診療費です」
 前出の南淵氏が言う。
「一連の論文不正問題の原因は、日本のアカデミズムの構造的な問題にあります。今の日本の医学界は『論文至上主義』に陥っていて、とにかく論文を多く書かないと出世ができない。多くの教授は、教授になった瞬間に、専門家からジェネラリストへの変節を強いられ、興味のなかった分野にも手を出すことになる。京都府立医大の松原先生も、東大の小室教授もそんな流れに押し流されたのではないでしょうか」
 前代未聞の製薬スキャンダルは、どんな決着を迎えるのだろうか。
「フライデー」2013年6月14日号より

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