2013年4月30日火曜日

読売新聞:高血圧薬臨床研究に製薬社員参加…身分伏せ論文


高血圧薬臨床研究に製薬社員参加…身分伏せ論文


Retracted(撤回された)と印字された京都府立医大の論文
 製薬企業ノバルティスファーマの高血圧治療薬「バルサルタン(商品名ディオバン)」を巡り、薬の効果を調べた大学の臨床研究に同社の社員が加わり、社員であることを伏せたまま研究成果が外部に発表されていたことが分かった。
 ディオバンは国内で年間1000億円以上の売り上げがあり、この研究成果は宣伝に使われていた。日本医学会の高久史麿会長は「研究の公平さを損なう極めて深刻な事態」として、24日に利益相反委員会を開き、実態把握と再発防止策の検討に乗り出す。
 問題の研究は、約3000人の患者を対象にした京都府立医大の比較試験。ディオバンを使うと、従来の薬と血圧の下がり方が同じでも、脳卒中や狭心症などのリスクが45%も減るというものだった。同社はこの結果を宣伝材料に使い、医師を集めたセミナーを繰り返し開いていた。
 しかし、研究データの扱いに不備があるなどとして、日本循環器学会の学会誌などに掲載された論文6本が、昨年末以降相次いで撤回された。研究の責任者の教授は、今年2月に辞職した。
 日本循環器学会の調査の過程で、同社の社員(現在は非常勤)が研究のデータ解析に加わっていたことがわかったが、論文に名前を公表しなかったり、非常勤講師だった大阪市立大の
所属と表記したりしていた。
 また、この社員は、慈恵医大、滋賀医大、千葉大、名古屋大の4大学でも、大阪市立大の肩書で同様の研究に加わっていたことが、論文などから判明した。京都府立医大と慈恵医大、滋賀医大は今年3月以降、データ改ざんの有無などを大学内部で調べている。
 スイスのノバルティス本社は、この社員の行為が同社の行動規範に違反している可能性があるとして、第三者による調査を行っている。読売新聞の取材に対して同社は「調査中でコメントは差し控える」としている。

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