2013年4月30日火曜日

2013年6月3日 バルサルタンの医師主導臨床研究における利益相反の問題に対するお詫びと対応について

ノバルティスファーマのプレスリリース 2013年6月3日

http://megalodon.jp/2013-0604-1517-21/www.novartis.co.jp/valsartan/0522/index.html

バルサルタンの医師主導臨床研究における
利益相反の問題に対するお詫びと対応について

2013年6月3日
ノバルティス ファーマ株式会社は、日本で2001年から2004年の間に開始されたバルサルタンの5つの医師主導臨床研究に、当社元社員がかかわり、かつ、研究論文に開示が適切になされなかったことにより、日本の医師主導臨床研究の信頼性を揺るがしかねない事態を生じさせたことを深く反省し、心よりお詫び申し上げます。
当社のこれまでの調査によれば、元社員は、研究によってはデータの解析などにかかわっていたことが判明しましたが、データの意図的な操作や改ざんを示す事実はありませんでした。また、バルサルタンの医師主導臨床研究の論文に元社員が当社の所属であることが表記されていなかったことについて、当社は、著者に対して適切に訂正を申し出ておりませんでした。これは、利益相反の観点から不適切でした。
また、利益相反の開示が不適切であることを認識できずに、5つの医師主導臨床研究の論文を引用してプロモーションを行ってきたことにつきましても、心よりお詫び申し上げます。
外部の専門家による調査は継続しておりますが、その結果を待たずともすでに明らかとなった事実を重く受け止め、当社の社会的、道義的責任を果たすためにも早急に再発防止に取り組むことといたしました。

これまでの調査で判明した問題点とその原因

(1) 利益相反および医師主導臨床研究に対する理解不足: これらの臨床研究が開始された2001年から2004年当時、医師主導臨床研究における利益相反を明確に規定したガイドラインがありませんでした。このため、元社員およびその上司は、製薬企業の社員の医師主導臨床研究に対するかかわり方について理解が不足しておりました。さらに、当社の教育が不十分であったため、開示の在り方についても正しく理解していませんでした。

(2) プロモーション資材の審査プロセスの不備: 当社では、研究論文を引用したプロモーション資材は、社内審査委員会の承認を得なければいけない規則になっています。しかし、この委員会は、資材が薬事承認の範囲内であることの確認や、有効性と安全性の情報が適正に記載されていることなどについて厳正に審査しておりましたが、資材に用いる研究論文を当社との利益相反の観点からチェックする機能を有しておりませんでした。また、社員が臨床研究に関与していることを記録する仕組みもありませんでした。 

 当社の取り組み
(1) プロモーション資材の審査プロセスの厳格化:プロモーション資材の審査委員会で利益相反についてもチェックができるようにするため、現行審査プロセスを厳格化します。また、こうしたプロセスの変更を速やかに社内研修教材に反映します。さらに、社員のアカデミアとの兼業や社外における研究活動をモニター及び記録する社内規定を制定し、潜在的利益相反の確認と適切な対応を徹底します。

 (2) 社内教育の徹底とプロモーションの自粛: 社員に対して、利益相反、医師主導臨床研究に対する法令並びに社内基準、プロモーション、コンプライアンスに関する法令、ガイドライン、業界団体ルールおよび社内行動規範を徹底的に研修し、社員教育を行います。 このため、7月1日から5日まで、当社の全ての医療用医薬品に関するプロモーション活動を停止します(学会共催のセミナーを除く)。

 (3) バルサルタン関連講演会の自粛: 2013年6月から8月までの3カ月間、バルサルタン関連の講演会を自粛します。

(4) 関係役員の報酬の減額: 医師主導臨床研究の信頼を揺るがす事態を生じさせたことで関係各位に多大なご迷惑をおかけし、バルサルタンを服用されている患者の皆様やそのご家族にご心配をおかけする事態をまねいたことを深く反省し、お詫びいたします。それらの意を表するため、当社代表取締役社長はじめ関係役員の月額報酬を2カ月間10%減額することを決定しました。


 今回問題となった医師主導臨床研究は、バルサルタン(製品名:ディオバン®錠)の承認取得、あるいは添付文書の改訂には使われておりません。したがって、ディオバン錠の添付文書の情報に何ら変更はございません。本剤の有効性・安全性の評価に問題がないことについて患者の皆様やそのご家族、および医療従事者の皆様方のご理解を賜りたくお願い申し上げます。
当社は、日本における医師主導臨床研究の独立と信頼の重要性を改めて強く認識しております。高い倫理観と社会的責任が求められる製薬会社として、二度と同様の行為をおこさないよう徹底した対策を講じて、信頼を取り戻すよう全社を挙げて努力してまいります。
以上


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