http://digital.asahi.com/articles/OSK201304110077.html
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【鍛治信太郎、小宮山亮磨】京都府立医大(京都市)の松原弘明・元教授(2月末に退職)の論文に相次いで不正が指摘されていた問題で、同大の調査委員会は11日、14論文の計54件で画像の改ざんなどの不正行為があったとする報告書をまとめ発表した。そのうち1件は、幹細胞移植の再生医療の臨床試験への申請に利用しており、調査委は「医療倫理上、重大な問題が含まれている可能性がある」と指摘した。同大は今後、退職金返還などの処分を検討する。
これに対し松原元教授側は「画像などを捏造(ねつぞう)、改ざんなどした事実は絶対にない」と全面的に否定している。研究費を出した厚生労働、文部科学の両省は大学側に報告を求める考えだ。
この問題をめぐっては、外部からの指摘を受け、大学側が2011年12月に学外の有識者も含む調査委を設置。元教授がかかわった1999年から11年の18本の論文について本人や共著者77人から事情を聴き調べた。
その結果、同一または極めてよく似た写真や図表データを使うなどの不正が54件あった。電子顕微鏡の画像などを上下反転させたり、一部を引き伸ばしたりして新たな成果とみせかけていた。不正とは認定しなかったが、内容が全く同一の二重投稿論文もあった。すべての論文に共著者として載っているのは元教授だけだった。
調査委が特に重視したのが、元教授が関西医大に勤めていた02年に米専門誌に発表した心筋梗塞(しんきんこうそく)のブタに血液中の幹細胞を移植した実験の論文。血管が増えたように見せるため画像に書き加えたと認定。その論文は、松原元教授らが04年2月に実施した心筋梗塞患者の血液の幹細胞を取り出して冠動脈に移植する臨床試験で、内容を事前に審査する倫理委員会に提出した参考資料として使われていた。
調査委員長の木下茂副学長は会見で「倫理委員会を有利に運ぶため、動物実験の結果が有効であると見せかける目的で捏造したとすれば、医療倫理上重大な問題」と話した。
これに対し松原元教授は「画像などを捏造した事実は絶対にない。改ざんなどを指示したこともない。データを訂正した論文が倫理委に受理され、類似の臨床試験に問題ないことが証明されていた」などとして対応を検討するという。
松原元教授をめぐっては、ほかにも高血圧治療薬の効果をめぐる3本の論文が撤回されており、大学が別の調査委員会を設置し、経緯などを調べている。
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