2013年4月30日火曜日

日刊薬業: ディオバン問題 ノ社元社員、臨床試験データを自宅PCに

ディオバン問題  ノ社元社員、臨床試験データを自宅PCに
( 2013年5月30日 )

 ノバルティス ファーマのARB「ディオバン」の医師主導臨床試験論文に同社社員が関与していた問題で、京都府立医科大の試験「KYOTO HEART Study」の統計解析担当者として論文に名を連ねていた元社員が、同試験の最終的なデータを自宅のパソコンに保存していたことが分かった。
 元社員は最終的なデータを基にした自身の解析内容を同試験チームに例示していた。元社員は社内調査に対し、パソコンのデータはすでに消去したと答えたという。同社が日本医学会などに提出した調査報告書に記載されていた。

 同社は元社員がディオバンに関する複数の臨床研究でデータ解析に関与していたことを認めているが、自宅でデータを所有していた事実は、KYOTO試験への関与の度合いが深かったことをうかがわせている。

 元社員が持っていたのは、データクリーニングなどを経てロック(固定)した後の最終的なデータ。試験チームのデータをコピーして自宅に持ち帰っていたが、昨年データを消去したという。

 元社員は自身の解析内容を試験チームに例示していたが、同社の報告書では試験チームがそれをどう判断し、どう使用していたかについては触れていない。また報告書には、元社員が意図的なデータ操作や改ざんを手掛けていたとの記述はない。

 KYOTO試験では元社員が、患者の症例が評価項目に合致しているかどうかを判断する「エンドポイント委員会」の大半に出席していたことが、すでに報告書の内容から判明している。

●医師主導試験ではあってはならない
 日本製薬医学会の今村恭子理事長は一般論として、「製薬会社社員が臨床試験の共同研究者として関与し、その分担する役割がデータ解析だと明示されていれば、社員がデータを持っていても問題ない。しかし奨学寄付金を資金源とした医師主導臨床試験で製薬会社側がデータを所有することはあってはならない」と指摘している。

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