2013年7月4日木曜日

読売新聞:元社員のデータ改ざん濃厚…高血圧薬・研究論文

元社員のデータ改ざん濃厚…高血圧薬・研究論文


製薬会社ノバルティスファーマの高血圧治療薬「ディオバン」の大規模臨床研究をめぐる問題で、慈恵医大の調査委員会(委員長=橋本和弘・同大医学科長)は30日、同大の研究論文に関する中間報告書を公表した。
 論文の基となった血圧に関するデータが、改ざんされたと結論づけた。
 調査委は「データの解析や図表の作製を同社の元社員(今年5月退職)1人に任せきりにしており、大学は関与していない」と説明し、「(データ改ざんに)元社員の関与が強く疑われる」と指摘した。元社員は今月下旬、調査委に、「解析のアドバイスをしただけ」と関与を否定しているという。
 調査委は2007年に英医学誌「ランセット」で発表した論文を「撤回することが妥当」と判断した。
 ディオバンの臨床研究は、血圧を下げる本来の効果とは別に、脳卒中や狭心症など心血管疾患への効果を検証するために国内5大学で行われた。慈恵医大では02~05年、循環器内科の望月正武教授(当時)が主導した。高血圧患者3081人について、ディオバンを使ったグループとディオバン以外の薬を使ったグループに分け、血圧を下げた。
 その後足かけ4年にわたり経過観察し、脳卒中や狭心症など重い心血管疾患が起きた割合を分析したところ、ディオバンを使ったグループが発症する割合は、他のグループに比べ39%少なかったとまとめた。
 同大の調査委が、研究に使ったデータと大学に残っていたカルテを照合したところ、大学が保管していた671件分の血圧のデータ中、最高血圧が86件(12・8%)で一致しなかった。二つのグループの血圧のばらつきを小さくし、研究の精度が高く見えるように改ざんした疑いがあるという。
(2013年7月31日 読売新聞)

0 件のコメント:

コメントを投稿