2013年7月5日金曜日

産経新聞: 根拠消え憤る患者「なぜこの薬飲むのか」

根拠消え憤る患者「なぜこの薬飲むのか」

2013.8.9 08:38
      治験と臨床研究の比較
      治験と臨床研究の比較
 降圧効果のみならず脳卒中や狭心症などの発生も抑えるとしてノバルティスファーマが宣伝し、多くの患者が服用してきたディオバン。しかし、効果を証明する科学的根拠は臨床研究のデータ操作で事実上消滅した。患者からは憤りの声が上がり、医療現場では“ディオバン離れ”も進む。
 「全く釈然としない」。岐阜県中津川市で10年間ディオバンを飲み続けてきた会社員の男性(63)は問題発覚以降、こんな思いが消えないという。50代で高血圧と指摘され、病院でディオバンを処方された。「特に説明もなく『これを飲んで』と言われた」。それから10年。突然毎朝飲む薬の名前がニュースで流れ、仰天した。
 「心配で病院に電話したら、医者は『特に問題ないからそのまま飲んでくれ』という。でも今回、ディオバンが他の降圧剤より高価なことも知った。高いなりの効果がないなら、なぜこれを飲まなきゃいかんのだ」
 ディオバンは血管を収縮させる物質の働きを抑えることで血圧を下げる「アンジオテンシンII受容体拮(きっ)抗(こう)薬(ARB)」の一つ。男性が飲んでいた「80ミリ錠」の薬価は1錠114・8円。1日1錠で1年間約4万2千円になるが、ある薬剤師は「同様の降圧効果がある他のARBのジェネリック医薬品(後発薬)なら年間1万円以上安くなる」と指摘する。
 「昔から使われる利尿薬タイプの降圧剤なら1錠10円程度。中には10円を切るものもある」と話すのは武蔵国分寺公園クリニック(東京都国分寺市)の名郷直樹院長。「高齢者など利尿剤の方が向いている人もいるが現場の医師が分からず処方している例も多い」という。
 すでにディオバンから他の薬に切り替えたところもある。「同種薬剤が多数存在する中であえて処方する理由は少ないと言えます」。東京都済生会中央病院(港区)ではホームページでこう通知し、今月5日からディオバンの処方を中止した。患者の多くは状況を理解し、混乱なく薬の変更に同意しているという。

0 件のコメント:

コメントを投稿