2013年7月31日水曜日

白橋伸雄



白橋伸雄は、ノバルティスファーマ社の社員であり、自社の高血圧治療薬であるディオバン(バルサルタン)の多数の臨床研究論文の統計解析に関わっていた。

それにも関らず、ノバルティスファーマ社および論文著者らは白橋伸雄のノバルティスファーマ社員としての身分を隠し、大阪市立大の非常勤講師とすることにより、利益相反(Conflict of InterestCOI)行為を隠蔽していた。また、ノバルティスファーマ社が担当医師に寄附金を支払っていることさえも論文に記載していなかった。
つまり、ノバルティス社との経済的な利益関係により、公的研究で必要とされる「公正」かつ「適正」な判断が損なわれていた可能性があるということが明らかにされていなかった。
それにより、ノバルティスファーマ社は、各種臨床試験結果を利益相反問題のない医師主導の信頼性の高いデータとして、ディオバンの販売促進のために効果的に使用できた。


参考資料
白橋伸雄は、平成19年12月時点では、ノバルティスファーマ株式会社のサイエンスティフィクオペレーション部マネージャー
武庫川女子大学の教員名簿より


Linked in 
の情報より
Nobuo Shirahashi しらはし のぶお
ノバルティスファーマ - 部長 日本 兵庫県 神戸市 製薬



世界変動展望ブログの関連記事紹介



(2013-05-04)




ノバルティスファーマ社の 「バルサルタンを用いた5つの医師主導臨床研究におけるノバルティスファーマ株式会社の関与に関する報告書」(673KB) より。


5つの医師主導臨床研究における当該元社員の関与


関係者による聞き取り調査及びレビューに供された文書に基づき、モリソン・フォースターによる調査は、当該元社員が5つの医師主導臨床研究のそれぞれに以下のように関与していたとしています。
研究
当該元社員の関与の程度と態様
JIKEI Heart Study (JHS) ・ 当該元社員は、固定された被験者のデータを入手可能であったことを認めています。

・ また、上司へのEメールの中で、エンドポイント委員会と運営委員会の小委員会での検討のために、データを提示する担当であったことを認めています。

・ 当該元社員が上司に提出していた月例報告書によると、当該元社員は論文執筆委員会、試験事務局会合、解析委員会、安全性委員会、モニター委員会、データモニター会合、データマネージメント会合、ウェブ会合、特別委員会など各種委員会の多くに出席していました。

・ 被験者データが固定される前のデータを格納するデータベースに、当該元社員がアクセスできたことを直接示す文書は存在しませんでした。しかし、データモニター会合とデータマネージメント会合に出席していたこと、当該元社員がエクスポートされたデータのファイルを持っていたことから、当該元社員がそのようなデータを入手することは可能であったことが示唆されます。しかし、どのような方法でこのようなデータを入手することができたのかは明らかではありません。
KYOTO Heart Study (KHS) ・ 当該元社員は、上司へのEメールの中で、データマネージメントチームの一員として活動していたこと、エンドポイント委員会の資料作成のために保護された被験者データを解凍したことを認めています。また、当該元社員がエクスポートされたデータのファイルを持っていたことも伺われます。ほかの文書にも、当該元社員が、固定前の入力されたデータを入手可能であったこと、そして実際にデータを入手していたことが示されています。しかし、どのような方法でこのようなデータを入手することができたのかは明らかではありません。

・ 当該元社員は、固定後の被験者データを入手可能であったことを認めています。

・ 当該元社員の上司に対する月例報告書によると、当該元社員は事務局会合、評価項目委員会、解析委員会、安全性委員会、データモニター委員会など多くの委員会に出席していました。

・ 当該元社員が統計解析を行い、出版された論文の原稿の一部を執筆したことも文書に示されています。
Valsartan Amlodipine Randomized Trial(VART) ・ 当該元社員の関与は、研究の体制と研究のオペレーションに関する助言に限られていたことが、文書に示されています。

・ 関係者の1人の証言によると、当該元社員と研究者の1人との間に生じた亀裂により、当該元社員はVARTの研究者たちとほとんど接触がなかったと考えられます。

・ 当該元社員は、VARTのデータベースにログインする認証情報を与えられていたことが文書に示されています。当該元社員が実際にデータベースにアクセスしたかどうかを示す証拠は見つかっていません。

・ VARTに関するある論文の原稿を論文公表の前に当該元社員が受け取っていたことも、文書に示されています。当該元社員が、原稿に対しコメントをしたか、あるいは、原稿を校正したかどうかを示す証拠は見つかっていません。
Shiga Micro Albuminuria Reduction Trial(SMART) ・ 当該元社員が、研究の体制の構築と研究のデザイン開発に関わっていたことが、文書に示されています。

・ 当該元社員は、固定された被験者データを入手可能であったことを認めています。被験者データが固定される前のデータを格納するデータベースに、当該元社員がアクセスできたことを直接示す文書は存在しませんでした。

・ 当該元社員の上司に対する月例報告書によると、当該元社員は事務局会合、エンドポイント委員会、解析委員会、安全性委員会、運営委員会に出席していました。

・ 当該元社員の部下はより広範に関与していました。当該部下は、研究プロトコールを策定し、研究の体制を確立し、データ収集と解析のためにウェブ上でのネットワークを開発し、業務委託先との間で必要な契約を作成し、コンピュータを購入し、中間解析会議用に資料を作成し、会議の運営を担当し、被験者データのフォローアップを行い、データの質管理をし、統計解析を行ったことが、文書から伺われます。
NAGOYA Heart Study (NHS) ・ 当該元社員が、研究体制づくりに関与していたことが、文書に示されています。

・  当該元社員は、固定された被験者データを入手可能であったことを認めています。被験者データが固定される前のデータを格納するデータベースに、当該元社員がアクセスできたことを直接示す文書は存在しませんでした。

・ 当該元社員の上司に対する月例報告書によると、当該元社員は事務局会合、解析委員会、安全性委員会、運営委員会に出席していました。

・ 被験者データが固定される前の入力されたデータを、当該元社員が入手したことを直接示す文書は存在しませんでした。しかし、安全性委員会に出席していたことから、当該元社員がそのようなデータを入手することは可能であったことが示唆されます。

・ 同様に、解析委員会に当該元社員が出席していたことは、当該元社員が統計解析を行っていた可能性を示唆しています。これは、他の文書によっても裏付けられています。





2013年7月30日  東京慈恵会医科大学 Jikei Heart Study調査委員会: 「Jikei Heart Study」に関する調査について(第2報;中間報告) より

(5) A社員の供述
 調査委員会は、早くからノバルティス社に対し、本研究のデータ解析を担当した同社A社員からの事情聴取に協力するよう要請した。これに対し、ノバルティス社は、「A社員はすでに当社を退職し、本人が調査に応じられないとの意向を示しているので、会社としてはこれ以上の協力はできない。」と回答し、A社員からの事情聴取は実現しなかった。しかし、ごく最近に至り、同社からA社員との面談を準備するとの連絡があり、先週末にA社員との面談が実現した。
 面談は、本学本部建物内で約2時間45分にわたって行われ、ノバルティス社の代理人弁護士(某大手法律事務所所属)1名が同席した。
 調査委員長らの質問に対し、A社員は、要旨次のとおり供述した。

① Lancet論文の末尾にStatistics analysis organizationとして自分の名前が大阪市立大学の名前とともに記載され、論文中に「データ解析は大阪市立大学統計解析グループが担当した」とあるが、自分が責任ある立場で本件論文の解析を行ったことはない。事実と異なる記載に関して、望月教授に対して抗議したことがある。

② データ解析を行ったのは医局の先生達である。ただし、自分が時々医局に呼ばれて、先生達から解析の手順などについて質問を受けてアドバイスをしたことはある。したがって、自分は、データ解析について部分的に協力しただけである。

③ 自分は、論文のドラフトを見たことは一切ない。だいいち自分は英語もできない。自分が本件論文に記載されている表や図を作成したことはない。したがって、これらの表や図を自分から望月教授らに提供したこともない。

④ データセンターの神戸CNSは自分が紹介したものではない。

⑤ 本研究に関する患者データを神戸CNSから入手したことはない。患者データを望月教授らから受領したことはあるが、解析のお手伝いをするために一時的に短期間預かっただけであり、データの内容も包括的なものではなく、断片的なものであった。

⑥ 血圧値データに人為的な操作があったということだが、思い当たることはなく、自分は関係していない。

 以上の供述に対し、運営委員会委員らに提出されたA社員名義の報告書を示して、そこには「JIKEI HEART Study 独立解析機関 代表 大阪市立大学大学院医学研究科 都市医学大講座 A」と記載されている点の説明を求めると、自分が作成した文書であることは認めたが、その説明は一貫せず、真実を特定することはできなかった。さらにA社員は、最後まで、自らデータ解析を行ったことを認めることはなかった。
 しかし、望月教授以下、研究にかかわった多数の医師は、口をそろえて「データ解析はA社員が行った。自分達には、データ解析の知識も能力もなく、自分等がデータ解析を行ったことはない。」と述べており、また、上記報告書以外にもA社員がデータ解析を行った証拠資料が存在するので、調査委員会としては、A社員のデータ解析に関与していないという供述は虚偽であり、A社員の供述は全体として信用できないと判断している。






0 件のコメント:

コメントを投稿